今回の話は、私が葬儀場の宿直として働いていた経験に基づいてまとめていきます。16時間労働を27日間、月間で合計432時間労働をした壮絶な体験談です。
16時間労働と宿直という働き方
そもそも、宿直という働き方に馴染みが薄い方もいらっしゃると思います。夜勤というのはよく聞くと思いますが、宿直とはどんな働き方なのか?
宿直とは法定労働時間外の業務を言い、基本的に待機業務が主です。夜の警備にあたることが主な仕事で、連続的な業務が許されておらず、電話なども1日の中で数件対応する形になります。
16時間労働の中で、仕事がない時がほとんで仮眠なども許されているため、実働時間は3時間くらいの時もあります。これだけ聞くとものすごく楽な仕事ではないの?と思われるかもしれませんが、葬儀業界は独特の働き方なので、本当に気が休まる時がないです。
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葬儀業界の16時間労働は他とは違う
葬儀業界というのは、24時間いつでも稼働できるように準備体制を整えておく必要があります。人が亡くなるタイミングというのはわからないので、深夜の2時であろうが3時であろうが、葬儀のご依頼の電話が入れば、葬儀の担当者が病院やご自宅までお迎えに行くことになります。
私の仕事は葬儀のご依頼の第一報を受ける仕事で、病院名などをお聞きして、葬儀の担当者に電話で連絡をして対応していただく、いわば中継の役割をします。
そのほかの業務内容としては、葬儀場で待機しているので葬儀場にご親族様が宿泊する際は、何か困っていることがあったら呼ばれたり、実際に担当者が故人様をお迎え後に様々な事情で自宅に安置できない場合もあるので、
その場合は葬儀場でご安置をすることになりますので、布団の準備や枕飾りといった仮祭壇の設定などの仕事をします。そのほかには、警備全般の仕事で葬儀場の施錠などをしていました。
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さて、先ほど仮眠しても大丈夫と書きましたが、宿直は1人体制で行っていますので、もし、仮眠していて電話で葬儀のご依頼が入った場合は寝ていても起きなければなりません。
深夜の2時から3時くらいが最も人が亡くなる時間帯ですので、23時に就寝し2時か3時に電話で起こされるというのが日常となっていました。待機しているが気が休まらない時間が続く、そして、これを週5日行っていました。
16時間労働を週5日で週80時間労働に関しては、私にも色々とメリットがあったのであまり不満はありませんでした。
しかし、ある時事件が起こります。
もう1人の宿直担当者がクビになりしわ寄せが・・・
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葬儀場は毎日営業しておりますので、私が週5日出社するということは、あとの2日は別の宿直担当者が出社することになります。
しかし、ある時このもう1人の宿直担当者がクビになってしまったのです。理由としては、電話対応で何度がご親族様を怒らせてしまうなどの言動が目立ったためになります。
宿直担当者がクビになったということは、新しく宿直担当者を雇わなければなりません。しかし、求人を出して面接をして採用するまでに少しの日数がかかります。その期間も葬儀場の営業をしなければならない。
その時、宿直として仕事が出来るのが私しかおらず、結局17日間連続出社、月で30日中27日間も葬儀場で働くということになってしまったのです。
合計で432時間も葬儀場で待機業務を行っていたので、どれだけ過酷だったかもわかると思います。
一般的に過労死ラインというのは、残業時間80時間以上からを言いますが、私の場合は特殊な労働形態にしろ、過労死ラインは優に超えていたということが言えます。
17時から翌日の9時まで勤務、約30分通勤時間がかかりますので9時半に帰宅。
葬儀場ではシャワーなどを浴びることができないため、家に帰ってシャワーを浴び、睡眠が十分に取れなかった時は11時くらいから15時くらいまで睡眠をして、また、17時から勤務開始というのが日常となっておりました。
これだけ働いたのだから、特別にボーナスや手当などをいただけるのかと思ったのですが、日給の他にいただけたのが3万円でした。
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当時、日給が9500円でしたので、432時間労働したのに給料は約28万円でした。
これだけ頑張ったのだからもっと評価されてもいいのではないか?
そして、明らかな法律違反をしているわけなので、悔しいし、虚しいし、人生何のために生きているんだろうと考えるきっかけにもなりました。
もちろん、お葬式というのは故人との最後の別れの場であり、とても大切な仕事であるということは理解していますが、それを多くの人の犠牲で成り立たせるというのは少し違う気がします。16時間労働の中で確かに実働時間はかなり少ないと思います。電話がでのお問い合わせが1件も来ない人もたまにある状況でした。
しかし、16時間電話がくるのか来ないのかわからない状況で待ち続け、そして、いざ電話でのお問い合わせがきたら深夜の2時や3時だということも本当に多いです。
正直、何が起きているのかわからず、何を頼ればいいのかわからない状況だったなと今振り返ると思います。