人が一番ストレスを感じる瞬間というのは、人の死に直面した時という話があります。
先日、僕の小学生の頃からの友人が自殺しました。
真面目で、大人しい、いい友人でした。
これは彼がブラック企業に殺されてしまったお話です。
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友人の異変
その彼と、久々に食事に行った時の事。
その日は「ちょっと相談したいことがある」と連絡があったことから決まった食事で、何か悩ん
でるのかな?くらいにしか思っていませんでした。
彼と合流した後、よく行くチェーンの居酒屋に行き、他愛もない話をしていました。
特に何か相談を切り出される様子もなく、飲みながら話をしていたのですが、どうにも彼の元気がないように感じました。
たまりかねた僕が「相談って何?」と問いかけると
「ちょっと、仕事の事で悩んでたんだけど、久々に会って飲めたら、楽になったから大丈夫」
と言われたので、特に言及することなく食事を続けました。
しかし彼は、本当は言いたいことがあるのに無理をしている。
そんな風に感じました。
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けど、せっかく二人で集まっているし、しらけた空気にするのも嫌だったので、悩みの部分には
触れず、その場を楽しむことにしました。
彼も楽になったといっているし大丈夫だろうと、安直なことを考えていたのかもしれません。
2.3時間ほど飲み食いをして、店を出ました。
彼は「今日はわざわざありがとう、忙しいのにごめんな」というので
「全然大丈夫!楽しかったし!また飯行こうぜ~」
といって別れました。
相変わらず彼は、あまり元気な様子ではありませんでした。
駅のホームで、別れた時の彼の後ろ姿には、なにか思うものがありました。
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友人が自殺した
あの食事から数日が経った頃、彼と職場が一緒の、共通の友人から連絡が来ました。
彼が自殺した、という連絡でした。
僕は一瞬頭が真っ白になりました。
数日前二人で食事したばかりなのに、なんで自殺なんか。
彼の相談したいこと、この時はそれが自殺に繋がっていたのかはわかりませんでした。
僕は、その連絡をくれた共通の友人(後述A)から話を聞くため、Aに話す時間を作ってもらいました。
Aと集まった僕は、近くのカフェに入り、開口一番に彼の自殺のことを聞きました。
「なんで自殺なんかしたんだ?」
「俺も部署が違うから、詳しいことはわからないんだけど、彼と同じ部署の奴が言うには、パワ
ハラとか過酷な労働時間らしい」
Aいわく、会社の中でも過酷を極める部署で彼は働いていて、朝の6時には出勤して、終電近くまで働かされる部署だったそうです。
IT関係の会社だったのですが、未経験で入社した彼は、早く仕事を覚えるようにと、長時間働い
ていたみたいです。
しかし、彼の会社はそこそこ大手だったので、そんな働き方をさせていたら、労基に目を付けら
れるのではないか?と思ったのですが
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Aの話によると、タイムカードだけは定時の時間に切らされていたみたいです。
なので、記録上はなんの問題もないのです。
当事者でも。会社の関係者でもない僕は、何もできません。
僕はあまりの理不尽さに、怒りが込み上げていました。
そして、彼と食事した時の事を思い出しました。
彼は、仕事の事で悩みがあるといっていましたが、結局相談らしい相談もないまま解散していた。
本当は、そんな会社での働き方を、僕に相談したかったんじゃないのか?
彼からの、最後のSOSだったんじゃないか?
僕はこれまでにない罪悪感を抱きました。
Aは彼の働き方を知っていたので、何度か助言をしていましたが、
「早く仕事覚えないといけないから」
と言って、毎日耐えていたそうです。
そこまで聞いた僕は、Aに別れを告げ、家に帰って一人で号泣しました。
なんであの時、もっとちゃんと相談に乗ってあげなかったんだ、僕が助けることが出来たかもし
れないのに。
そんな後悔を繰り返しながら、泣き続けました。
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友人の葬式
Aと別れてから数日後、彼のお葬式が執り行われました。
彼を助けれなかった罪悪感から、参加するか迷いましたが、
Aが「彼の最後のお見送りも出来なかったら、もっと後悔することになるかも知れないぞ」
と言ってくれたので、参加することができました。
これまで、何度かお葬式に出席したことはありましたが、人生で一番つらいお葬式でした。
自分が救えたかもしれない彼のお葬式だったからかもしれません。
お葬式の時も、人目をはばからずに号泣しました。
人生で一番悲しい一日でした。
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お葬式を終え、Aと一緒に帰りました。
その際Aが
「お前のせいなんかじゃないからな、悪いのは全部会社だから」
と、僕を励ましてくれたのが、せめてもの救いでした。
自宅に帰り、一人で考えこみました。
自ら命を絶ってしまうくらい辛いのに、なんで仕事を辞める事が出来なかったんだろう。
死んだらなにも残らないのに。
そんなことをずっと考え続けていました。
けれど、なんとなくわかりました。
彼は学生の頃から、人一倍真面目に物事に取り組む性格だったからです。
学園祭の準備の時も、みんがふざけあってサボる中、黙々と作業をこなしていた彼。
会社で与えられたことを、真面目に黙々とこなしていたんだと思います。
精神的に限界がきても、与えられたことは真面目にこなさなければならない、そんな彼の真面目
さが不幸な結果を生んでしまった。
彼はただ真面目なだけだったのに。
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僕は今回の件で、真面目は損をする、という価値観が生まれました。
もちろん、物事に真面目に取り組むことは素晴らしいことです。
しかし、時には肩の力を抜いて、適度にガス抜きすることも大切だと感じました。
もし、今この話を読んだ方の中で、仕事が辛いと感じている方は、限界が来てしまう前に逃げて
ください。
そして誰かを頼ってください。
死んでしまったら、もうなにも残りはしないのですから。