残業強制のパワハラをしてくる会社を退職して正解だった話

残業強制のパワハラ職場のトラブル
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残業強制のパワハラをしてくる会社に入社してしまったのはなぜ?

当時僕は28歳で、結婚して子供が生まれたのをきっかけに、転職を決意しました。理由は「強制的な残業が多い割に給料が少ないし、この仕事を続けていったところで果たして家族を養っていくことができるだろうか?」と思ったからです。

そして、九州一円に支店がある住宅リフォーム会社で、TVコマーシャルでも有名なN社熊本支店に営業部として入社することができました。なぜ、N社に決めたのか?理由はおもに以下の5つです。

  1. コマーシャルで有名な会社で知名度があったから
  2. 求人広告に平均月収40万以上稼げる仕事!と記載してあったから
  3. 残業強制、ノルマ一切なし!休日は日曜・祝日・長期休暇有等が魅力的だったから
  4. 知名度がある会社なので妻と互いの両親に反対されないと思ったから
  5. 工事部があり、下請けを使わない自社工事だったため安心できたから

以上の事から、僕は将来的に考えても間違いない会社だと確信したからです。当時「とにかくこのN社に入社したい!」という思いでいっぱいでした。

採用が決まって妻や両親に報告すると、すごく喜んでくれました。僕も「絶対にこの会社で頑張って稼いで家族を幸せにするぞ!!」という決意でした。

そして、入社日をむかえ初めて会社の実態を知ることになったのです。実は、N社が「残業強制のパワハラをしてくる会社」だったという事を・・・。

今思い出して考えてみれば、この日が「裁判沙汰にしてもおかしくない!」ような地獄の日々の始まりでした。

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タイムカードを朝だけ押して帰りは押さない理由

入社日当日、僕はやる気をアピールするため早めに出社しようと思い、指定時間の20分前に出勤しました。まず、支店長からタイムカードをおすよう指示されました。

その時に、支店長から「タイムカードは朝だけおして、帰りはおさなくて良いから。」と言われ、出勤初日の僕はなぜ?と疑問に思いながらも「はい、わかりました」と答えます。

それから次々と先輩社員・上司あわせて10名と、ほかの新入社員が出社してきました。

新入社員は中途採用にもかかわらず、僕を含めて全部で15名です。朝礼で先輩や上司の紹介、それぞれ新入社員の自己紹介も終わり、支店長からの一言にびっくりしました。

「新人さんは研修しようと思ってたけど、現場にいって先輩と同行してください。その方が仕事をはやく覚えるから」と・・。

「事務所で研修受けるより、現場で勉強したほうがはやく稼げるから」とも・・・。

続けざまに「新人のみんな早く稼ぎたいやろ!?」

「ねえ、Aさん、Sさん、Tさん・・・・・・。」

みんな「はい」としか答えようがありませんでした。

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この時点で、面接のときに言われた「研修があるから大丈夫ですよ!」ということ自体ウソになります。とは言え、みんな初日ということもあり支給された制服にさっそく着替えて、上司を中心とした6チームにわかれ、それぞれ別の現場へ移動しました。

僕は、T先輩(当時40歳位)と同行する事になり、営業活動の合間に質問しました。

「いつも帰りは何時位になるんですか?」

すると先輩が「はやくて22時位、遅いときには23時過ぎるかなあ・・・。」

僕は唖然としながらも先輩に訊き直しました。「あっ、そうなんですか。でも面接のときに商談があるときだけ遅くなると言われたんですけど・・。」

すると先輩が「全員が返ってくるまで帰れないからねえ・・、毎日だれか商談してるし。」「まっ、会社なんてそんなもんだよ」とも・・。

この時点で僕は、だまされたと思いながら、もういちど確認してみました。「それなら、残業代は付くんですか?」

先輩の答えは「俺も入社したときに同じことを聞いたんだよ。そしたら、移動時間は営業活動してないから仕事でも残業でもないやろう、って言われたんだよね・・。」

「だから、残業代は付かないんだってさ・・。」「俺もなかなか仕事がなくて、子どものために3ヶ月目だけど我慢して頑張ってる。」と言われ、返す言葉が見つかりませんでした。

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整理すると、9時に出社してから23時まで会社、ということは毎日14時間労働ということになり、月に27日勤務とすれば1ヶ月378時間労働です。いくら給料が高い(稼げる)からといっても、ひどすぎます。

それに全員が帰ってくるまで帰れないというのは、組織的な「残業強制のパワハラ」です。だいいち面接の時と色々話が違い過ぎます。

結局その日は、現場から会社に戻ったのが22時くらいで、日報などを書いて22時30分くらいに家に帰りました。帰り道の途中、妻になんて言おうか?と考えながら今後のことを迷っていましたが、先輩の「子どもために、我慢して頑張ってる。」という言葉に自分を重ねて、がむしゃらに頑張ることを決めました。

それからの僕は、ひどい時には夜中の12時をまわる日も度々ありましたが、3ヶ月目にはチームリーダーになって部下を持ち、50万円以上の給与を続けていきました。

その頃、15名いた新入社員のうち、残ったのはたった3名だったというのを聞けば、過酷さを想像できるのではないでしょうか。

今思えばこの頃の僕は「残業強制のパワハラをしてくる会社」というのをどこかに消して、とにかくお金を稼ぐことだけに集中していた日々でした。

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残業強制のパワハラをしてくる会社を辞めた理由

月日は流れ、入社してから11ヶ月目のある日のこと。その日は、朝から台風の影響でどしゃぶりの雨だったので、たしか9月頃だったと思います。

出社後、現場(担当エリア)へ移動して、自分が契約を頂いた工事中のお客様に「雨で工事が休みの旨」を報告しに行きました。そのお客様の工事内容は、外壁と屋根の塗装工事です。

いつもは、工事部に連絡して工事の進捗状況を確認するのですが、どしゃぶりの雨だし当然休みだろうと思ったので、連絡しませんでした。到着後、お客様の家を見ると信じられない光景を目の当たりにしました。

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なんと、どしゃぶりのなか雨ガッパを着て、足場の上で外壁を塗っているのです。しかも、3人います。信じられますか?あの時は、正直いって自分の目を疑いました。ひょっとして家を間違えてるんじゃないかとも思いました。でも、何回確認しても間違いなくお客様の家です。

これでは、せっかく塗っても雨で乾かないばかりか、塗料が流れてしまう危険性もあります。そこで僕は、工事部に話しかけず、支店長に電話することにしました。

そうすれば、僕から工事部に「中止してくれ」と言うよりも、支店長が「やめてくれ」と言った方が、当たり障りがないと思ったからです。

支店長に電話報告すると信じられない返答が、
「そんなの流れてしまったら、工事部が塗り直せば良いことやろうが!」と・・。
「お前は営業だから工事には関係ないやろうが!!」とも・・・。

この瞬間、今まで残業強制や数々のパワハラに耐えてきた自分の中の決意という1本の線が切れました。部下には関係ないため、1日の業務を終え会社に着くなり支店長の席へ行き、こう言いました。

残業強制のパワハラには、もう耐えられません、今日で辞めます」と。

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残業強制のパワハラをしてくる会社を退職して正解だった

N社を退社して5年ほど経った頃、当時の部下から連絡がありました。「N社が倒産した。」とのことで、ずっと消費者から裁判を起こされていたそうです。

もし、あのまま辞めていなかったら、年齢も34歳になって転職先も少なかっただろうな、退職して正解だったな、とつくづく思いました。

他にもN社を退職して正解だったなあ、と感じた点が以下の4つです。

  1. パワハラのない転職先の職場が毎日快適だった
  2. パワハラに耐えたことで忍耐力が強くなった(プライベート含)
  3. 残業強制がないため、時間内に集中して仕事をするようになった
  4. 残業強制がないため、家族との時間が増えた

僕のように何かの理由があって「残業強制のパワハラをしてくる会社」を辞められないかたも、少なくないと思います。耐え続けるなかで、時にはあまりにもヒドイ「裁判沙汰にしたい」というような瞬間も、きっとあるでしょう。

僕の場合は、きっかけがあって退社しましたが、今でも正解だったなと思うことが日常生活でたくさんあります。もし今、当時の僕のように悩んでいる方がいたら、いちど将来を見据えて気持ちの整理をしてみてはいかがでしょうか。

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寄稿者:住まいの生活空間 マサキ工房