「お前はうちの部店の最下級奴隷だ」
これが私が最初に言われた言葉でした。
私は某メガバンクで法人営業をしています。去年に新卒入社で都内の部店に配属になりました。
私の勤める銀行では新入社員には先輩社員が指導担当者として配属され、仕事のイロハを教えることになります。
私には2つ上の先輩に指導担当者としてついて頂きました。
入社当初、やる気に満ち溢れていた私は「仕事をバリバリ頑張って出世してやる!」と闘志を燃やし、この先輩から出来るだけ多くのことを学ぼうと心に決めていました。
しかし、結果としてこの期待は裏切られることになります。
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体育会系の先輩社員の容赦ないパワハラ(部下の奴隷化)が始まる
先輩は超が付くほどの体育会系で精神論を非常に大事にする方でした。
入社して間もない私に業務のことなどほとんど分かるはずもありませんが、先輩からは次から次へと仕事が降ってきます。今思えば指導と言うより私を先輩の下請けとして利用していただけでした。
もちろん業務について詳しい説明など無いに等しく、知識が皆無のところから自分で調べたり、先輩に聞きながらやるしかありません。しかし、自分で調べると時間がかかりすぎて「なんでそんな仕事も出来ないんだ!」と職場全員の前で怒鳴られます。
一方で、やり方を先輩に聞くと「それくらい自分で調べてやれ!」とこれまたみんなの前で怒鳴られます。
仕事は到底終わるような量ではなく、昼ご飯を食べる時間すらありません。
先輩に相談すると「てめえは本当使えないな!これで昼飯に行くつもりか!?5分で帰ってこい!いいか?5分だぞ?」と脅されます。
こんな調子で常に怒鳴られ、罵倒されて仕事をしているので私自身委縮してしまい、私は先輩に話しかけることすらできなくなってしまいました。しかし、職場において新入社員が最初に習うのが「報連相」です。
「報連相」の必要性は分かっていても委縮した私が先輩に声を掛けられるはずもありません。
そんな調子でもたもたしていると「てめえ!なんで何も言わないんだ!俺の仕事を邪魔するつもりか!」「お前には仕事をしているという自覚がないんだな?もういい!何もするな」と怒鳴られてしまいます。
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こんな調子で夜遅くまで残業をして「やっと帰れる!」と思っても安心出来ません。
先輩から「これから飲みに行くぞ」と決して断ることの出来ない誘いをかけられ飲み会に連行されます。飲み会の席でも他の先輩や同期の前でいかに私が使い物にならないか、いかに出来損ないかということをなじられ続けます。
このように職場でも移動中の車内でも仕事が終わってからの飲み会の席でもずっと欠点を指摘され続け「いかに自分が出来損ないであるか」をあげつらわれるのです。
このような状態が数カ月続いた結果、私は徐々に心身共に病んで行きました。
朝職場に到着し、先輩社員の隣に座ると腕がプルプルと震えだします。職場ではいつも気分が落ち込み、いつ怒鳴られるかと心臓がバクバクしながら働いていたために他の先輩社員からはいつも「覇気がない」と言われていました。
睡眠障害の症状も現れました。家に帰るとどっと疲れているはずなのに夜は眠れず、夜中に何度も目覚めてしまいます。眠いはずなのに朝も早く目が覚めてしまい、眠いまま仕事に行くので全く仕事に集中できません。
待ち遠しいはずの土日が来ても何もやる気が湧かず、日曜の夜になると憂鬱な気分になって何も手に付きません。
次第に「何のために生まれてきたのか」、「自分には価値がないのではないか」と思い詰めるようになってしまいました。
こんな私の状態を見た家族や友人から精神科への受診を勧められ、行ってみたところ「重度の鬱状態であり、直ちに休職が必要である」という診断結果が出ました。
私は医師の診断結果に従い会社を休職しました。
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人事部に相談しようと思った矢先、パワハラ先輩の精神論に乗せられパワハラ(部下の奴隷化)を黙殺される
しかし、私はこの件について人事部に相談をしてこのパワハラ事件を調査してほしいと考えました。私の勤めるメガバンクではコンプライアンスに非常に厳しく、今回の件を報告すれば必ず何らかの処置がとられると考えたからです。
そう思った矢先のことです。
先輩から電話がかかってきました。
恐る恐る出ると先輩は次のように話して人事部に言いつけないように私に精神論を押し付けてきました。
「お前が休職するという話は聞いた。一応言っておくが今回の件は人事部に言わないほうがいいぞ。俺のことを報告すれば俺の首は飛ぶが、お前は『簡単に文句を言う奴』として人事部にマークされることになる。そうなればお前の出世も見込めないぞ。休職は勝手にすればいいが、お互いのことを考えて、黙っていた方がいい。それに今回の件はお前が精神的に弱いということがぶっちゃけ原因なんだぞ?うちの会社はよそと比べればかなりホワイトでましな方だ。自分の面目をつぶさないためにも静かにしておけ」
今ならこんなことを言われても人事部に報告したと思いますが、その時の私は精神的に病んでしまい物事を深く考えることが出来ない状態でした。そんな状態であったからこそ先輩の言葉をそのまま受け取ってしまい結局誰にも報告せず、「新しい仕事に慣れることが出来ずに鬱になりました」と上司に相談するのがやっとでした。
この時点で入社当初の私の希望や夢は完全に打ち砕かれました。今ではただただ悔しい気持ちだけが心に残っています。