退職時に給料未払いのまま会社に切り捨てられた体験談

退職時に給料未払い職場のトラブル
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給料未払いトラブルが我が身に…!思えば理不尽だらけの職場でした

給料未払いトラブルなんて自分には無関係な話だと思っていた私が、この問題の当事者になった挙句に会社から脅迫まがいなことをされた話です。

当時の職場環境は下記のとおり、お手本のようなブラック職場でしたが、この異常さに気づいたのは入社後。在職中はまさに地獄でしたが、まさか退職後にもこんなに嫌な思いをさせられるとは夢にも思っていませんでした。

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職場環境

経理業務代行の個人事務所。正社員2名(後から分かったことですが、2人とも社長の身内でまともな社会人経験がほぼ無く、なんでも社長の言いなりでした)、パートさん2、3人(これも後から分かったことですが、ブラックな環境のせいで長続きする人がおらず、まともに仕事ができる人ほど早々と辞めていくので入れ替わりが激しかったようです)という小規模体制でした。

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社長の特徴

30代半ばの独身男性、パワハラとセクハラの常習犯。経理事務所規模を拡大するためと銘打ってスタッフを募集しておきながら、実は事務所の本業にはすでに見切りを付けており、本人は全く別件の居酒屋事業の立ち上げに夢中。新規採用スタッフの中に優秀な人がいれば、当人の意向を無視して居酒屋事業を強制的に手伝わせるという求人詐欺まがいなことをしていました(そのせいもあって、新しいスタッフがどんどん逃げていく)。普段は経理事務所におらず、近くのマンションに自宅兼居酒屋事業用の事務所として使用する部屋を借りており、そちらに常駐。

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退職時に給料未払いのまま会社に切り捨てられるまで

私(女性)は入社時20代後半で独身、家族が大きな手術を終えたばかりだったのでお世話のために実家で同居しつつ、キャリアアップできる職を探しているという状態でした。一般企業で5年ほど働いたのち、経理業務の専門職を志望しこの事務所を選びましたが、働き始めてすぐにその異常な実態にうんざりしました。

まずゾッとしたのが、社長のモラルの無さです。半自宅の居酒屋用事務所に篭りきりで職場の実態を全く把握していない社長は、自分の私的な都合最優先で経理事務所スタッフを召使いのように扱い、本業と全く関係のない調べ物や買い出しを、時間帯や繁忙期等にお構いなしに命じてきました。こうした命令は電話やLINE、メールやビデオ会議システムなどで突然発せられ、こちらのレスポンスが遅いと激怒。経理事務所スタッフはみんな、食事休憩やお手洗いにも立ちづらいという状況でした。

これに加えて、独身女性スタッフ限定

  • 社長の自宅の掃除当番
  • 週1以上の頻度での社長との個人面談

があり、これらの名目で社長の自宅に1人ずつ呼びだされ、毎回2時間近く社長と2人きりの密室で過ごさなければならないというえげつない慣習があったのです。プライベートなことをしつこく聞き出されたり、ネチネチと執拗に説教されたりと、絵に描いたようなセクハラが連日繰り広げられていました。

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一方で、スタッフから社長に対しての連絡は、スタッフのリーダーだけが行う1日1回の定時報告以外はご法度というのが暗黙の了解でした。業務上社長の意見確認が必要になりこちらから相談を持ちかけたいとなっても、所定の定時報告以外の連絡はNGです。

私の在職中に1度、同僚の業務に大きなトラブルが発生し、やむをえず定時報告以外のタイミングでメールでお伺いを立てたことがありましたが、惨憺たる結果でした。

メールを送った同僚に対して即座に社長から電話が入り、「気が散るから連絡してくんなって言ってんのがわからねぇのかクズ!お前アタマ悪過ぎだろ!ほんとは○国人なんだろ!?」と聞くに堪えない罵声が、電話越しであるにも関わらず事務所中に響き渡るという始末で、その同僚は電話で説教を受けながら大号泣。こうしたハラスメントの数々は、まさに枚挙にいとまが無いという状態でした。

そんな事務所でしたが、当時の事務所メンバーの中で唯一、一般企業での職務経験があった私は幸か不幸か社長の「お気に入り」になってしまったようでした。罵声を浴びせられるタイプのパワハラを受けなかったことだけは幸いなのですが、凄まじい頻度で自宅に呼び出され、終業時刻を過ぎても帰してもらえない、居酒屋事業の業務を勝手にどんどん割り振られる、しつこく食事に誘われるといった横暴が目立つようになり、こうしたハラスメントはプライベートにまで及ぶようになりました。ついには社長との半同棲のような条件での勤務を命じられ、

  • 社長の自宅近くの物件を探してそこに1人で住め
  • そうすれば通勤時間がゼロになるから、今まで通勤に費やしていた往復分の2時間を居酒屋事業の業務やそのための勉強に充てろ
  • 勤務時間や出勤日という概念は撤廃して、公私共にいつでも社長からの連絡に応えられる体制を取れ

といったことを求められたのです。「今週中に候補の物件をピックアップしろ」と言われた時には本当に吐き気がしました。

途方に暮れていたまさにその時に家族の体調が悪化、通院の付き添いや日々のお世話が必要な状態になりました。ここで私は退職を決意。色々と考えた末、社長と話し合いの上スムーズに退職することはまず無理だろうという結論に至り(そもそも私から連絡を入れることは基本的にNG)、経理事務所のスタッフにだけ事情を話して至急引き継ぎを行い、なるべく早く退職することにしました。

事務所のスタッフからは了解を得て、所定の様式の退職届も受理してもらい、慌ただしいながらも事務所を脱出できた私。仲の良かった同僚に後から聞いた話ですが、私の退職を知った社長は癇癪を起こしてそれはもう大変な荒れようだったそうです。

八つ当たりされた同僚に本当に申し訳なく思いお詫びの連絡を入れたところ、「慣れてるから大丈夫。この辞め方で正解ですよ、社長と直接話し合いなんてしたらどんな目に遭わされるか分かったもんじゃないし」と明るく笑って励ましてくれました。そんなこんなで事務所を抜け出した私でしたが、このあと社長からとんでもない嫌がらせを受けることになります。

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退職後に給料未払いトラブルが発生!督促するも逆上されて…!?

退職成立から数週間後、離職票などの書類が届き一件落着かなと思っていたのですが、最終月分の給料が所定の給料日になっても振り込まれず、源泉徴収票も送付されてこないという事態が発生しました。

すでに届いていた離職票には最終月の給料額も明記されていたので、これは明らかな未払いです。苛立ちと「ああ、こうなると思った」という気持ちが半々でした。とはいえ何もアクションを起こさないままというのも腹立たしいですし、何より源泉徴収票は発行してもらわないと困るということもあったので、私は事務所宛に督促状を送付しました。

すると数日後、簡易書留で文書が1通届いたのです。その内容を見て、私は心の底からゾッとしました。あまりにもひどい内容だったので、箇条書きでまとめます。

  • 給料の未払いを主張しているが、その主張は間違っている
  • そちらが勝手に辞職したのは重大な契約違反だ
  • こちらは顧問弁護士と社労士を交えてどのような処罰が可能か考えており、法的手段を取ることも視野に入れている
  • これまでの勤務の実態を今一度調査する。勤務の実態が虚偽のものであると判断されれば、これまでの給料の返還を求める
  • 未払いを主張している給料は、顧問弁護士が管理する銀行口座に一旦預ける形を取っている
  • 今後は双方弁護士を通しての話し合いを希望する。そちらも弁護士を雇って連絡してこい
  • 本件について、弁護士以外の部外者に相談することは機密の漏洩とみなし別途処罰の対象とする。労基への相談もこれに当たるので禁止する

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こうした内容が、A4の紙にびっしりと記載されていました。

ビジネス文書の体裁になっておらず、まとまりのない文章が紙面をぎちぎちに埋め尽くしている様子はもはや怪文書そのものです。

とはいえ、弁護士経由で話し合うというわりには弁護士さんのお名前も連絡先も記載されておらず、というか「そもそも事務所に顧問弁護士なんていたっけ?」という状態でしたし、労基への相談を一方的に禁止するという言い分も幼稚で、苦笑いするしかありません。

感情的になって脅しの文面を書き連ねているんだろうなと半ば呆れていましたが、そこでふと「勤務実態を調査して過去の給料の返還を求める」という言い回しに違和感を覚えました。そこで私はハっとしたのです。

事務所の勤怠管理においてはタイムカードなどが導入されておらず、エクセルに各々が勤務時間を入力するだけという非常にお粗末なものでした。つまり、その気になれば誰でも書き換えることができるのです。

事務所スタッフの社員さんは悪い人ではありませんでしたがとにかく社長の言いなりだったので、社長がその気になれば私のこれまでの勤務記録を改竄し、スタッフにも口裏を合わせるように命じて、軽く100万円は超える給料の返還を求めるということも不可能ではないのです。

これはもちろん犯罪でしょうし、それこそ弁護士や警察が入れば記録の改竄履歴は掴めるでしょうが、とはいえそうなればとてつもなくスケールが大きな話になってきます。

そもそもの前提として、家族への世話が必要で時間的に余裕が無いことから退職を選んだ私。未払いの給料は10万円そこそこ。この状況で弁護士を探すところから始めて高額な依頼料を支払って、終わりの見えない論争が始まって、場合によっては警察のご厄介になるかもしれない次元にまで話が発展して…と考えると、一個人である私にはあまりにも途方のない話でした。

社長もこうした点を現実的に考え、私のあらゆる弱みにつけ込む形で「こういう嫌がらせをしてこういう脅しをかければ、泣き寝入り以外あり得ないだろう」というポイントを見極めて仕掛けてきたのでしょう。

気が狂いそうなほど腹が立ちましたが、やはり弁護士を雇って本格的に争うというのはどう考えても現実的ではなく、私は結局泣き寝入り。嫌がらせとしか言いようの無い幕切れで会社から切り捨てられたわけですが、あの社長と絶縁できただけでも良しとするしかありません。

とはいえ今でも悔しくてたまらず、「あの時気軽に相談できて話だけでも聞いてくれる弁護士さんがいてくれればどんなに良かったか」と思うばかりです。

入社する時には会社の実態なんて分かりませんが、せめて勤怠管理だけは改竄の余地のない体制を敷いている会社を選びたいと痛感した出来事でした。

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